日刊時事エッセー

原爆画家殿敷侃の抗い、「逆流のうまれるところ」展で問う

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亡くなって四半世紀、世界情勢は危うい流れを見せる。
米国やロシアは再び核兵器増強へ動き、北朝鮮も開発へ突っ走る。
被爆地に残されたものを見つめ直し、あらがい、逆流を起こす時だ。

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割れた眼鏡、裂けたワンピース、布カバン・・・。
あの日を物語る被爆遺品類が原爆資料館の地下に並んでいる。
遺族らから昨年度、新たに寄せられたもの。
何が起きたのか、何をすべきか。
長く訴えかける資料が加わった。

比治山の広島市現代美術館では、地元出身の作家殿敷侃(とのしきただし)さんの特別展がきのう始まった。
原爆で死んだ親の形見が題材の絵画もある。
幼い自分を背に入市被爆した母の衣類などを点描で表現。
無数の点に執念がこもる。

被爆者の背中に残るケロイドや湧き上がる原子雲を、版画にして並べた作品は見るものに強烈な印象を与える。
ことし没後25年。
「逆流の生まれるところ」と題して50年の生涯と制作活動に迫る展覧にはエネルギーの奔流がある。

晩年は、消費社会や環境破壊を告発する作品も世に問うた。
古タイヤを山口県立美術館前にぶちまけたり、赤いペンキを塗りたくったビニールで原爆ドームを取り巻いたり。
「逆流」をテーマに殿敷さんは駆け抜けた。


広島市現代美術館引用

広島出身の作家、殿敷侃(とのしき・ただし1942-1992)は29歳で画家を志し、本格的な制作を開始しました。
70年代からは生活と創作の拠点を山口県の長門市に移し、両親と自身の被爆体験に向き合い緻密な点描による絵画・版画作品を制作します。
その後80年代に入ると、シルクスクリーンの実験的制作や、インスタレーション的な提示方法を通して作風を大きく展開させます。
また80年代半ばからは、廃棄物や漂流物を素材としたダイナミックなインスタレーションを多数実現させ、それらが現代の消費社会や環境破壊へと向けられた問題意識に基づく創作として高い評価をうけ、国内外の展覧会での発表を重ねていきます。
そして、今後のさらなる活躍が期待されるなか、50歳にしてこの世を去りました。
近年、殿敷の創作が社会的なテーマへの取り組みや、地域住民との協働による制作といった観点から再評価されるなか、本展では没後25年を迎える広島ゆかりの作家として、その活動を包括的に振り返ります。
30年足らずの間に目まぐるしく作風を変え、多様な展開を遂げたその変遷をたどり、また一時的なインスタレーションとして実作品が残されていない晩年の活動については記録や関連資料を紹介しながら、殿敷侃という作家の全貌に迫ります。

「逆流」とは、晩年の殿敷が自身の制作に対して用いた言葉で、忘れられた記憶や、脇に追いやられた存在が、強引に人びとの意識の上に現れる様を意味しています。
殿敷が引き起こした逆流とは、彼が何に苦悩し、何に抗い、何を引き受けて生み出されたものなのか、そして、彼の残した足跡が私たちにどのような逆流を引き起こし得るのか。
本展はその問いに答えるためのヒントとなるはずです。

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