日刊時事エッセー

見えない闇は空想で描く、福島第一原発の原子炉建屋を

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未曽有の津波で壊滅した原発、廃炉の目途も付かないのに、一方では原発が再び稼働し始めた。
復興五輪の掛け声に乗って、巨額のインフラ整備も進む。
あの日、反省したはずなのに。
国の全体像や歩むべき方向が見えているのだろうか。
考え直さなければ、さまよい続けることになる。

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大きな絵を見た。
暗く不気味な荒野が広がる。
地割れして木々は倒れ、壁も無残に崩れ落ちて、黒い水が流れる。
まるで世紀末の風景に、1頭の牛がいる。
何が起きたか、どこに行くべきか、わからぬようだ。

宮城県出身、加川広重さんの水彩画「さまよう牛」である。
2.7㍍四方あるが巨大な絵のごく一部。
全体は「フクシマ」という作品で縦5.4㍍、横16㍍以上に及ぶ。
水素爆発した福島第一原発の原子炉建屋を描く。

「さまよう牛」は建屋内を、空想で表現した部分。
気仙沼市の美術館で眺めるうち、日本社会の暗喩に思えてきた。
計り知れないほど巨大な災害を経験し、傷つきながら、いまだ出口を見いだせない私たちを例えた絵ではないかと。

東日本大震災から6年。
福島原発の廃炉は見通せない。
被災地では防潮堤やかさ上げの工事が進むが、住民はどれほど戻るだろう。
思案する住民を、「牛」は象徴するのか。
避難先でいじめに遭う子供の姿も重なる。


以下は<AERA 2015年3月30日号より抜粋 >

宮城県出身の画家、加川広重さんは、被災地に実際に足を運んで感じたことを巨大画に描く。その絵を見ると、心が震える。
縦5.4メートル、横16.4メートルの巨大な画面に、異質な光景が横たわる。水素爆発で破壊された東京電力福島第一原子力発電所の原子炉建屋。1、3、4号機の要素を複合し、建屋の中に汚染された荒野やさまよう牛やイノブタ、汚染土を詰めた黒い袋などを描き込んだ。実際にはありえない構図だが、宮城県蔵王町出身の画家、加川広重さんが現地で見た光景や、違和感を投影している。

タイトルは「フクシマ」。カタカナなのは、理由がある。
「原発事故に限定して描いているのであり、福島県全体とは別。そこを誤解してほしくない」
「家畜たちの殺処分を命じられた。無駄死にさせられない。生かすことで被曝研究に役立ててほしいと国に主張しているが全く聞き入れてくれない」
住民たちの声を聞き、加川さんは感じたという。
「住民の方々の怒りや悲しみが僕の中に入り込み、『原発を直接的に描いてやろう』という思いがこみ上げてきました」

今年1月、「フクシマ」などの作品を展示したイベント「加川広重 巨大絵画が繋ぐ東北と神戸2015」が神戸市で開かれた。そこに福島県南相馬市の県立小高工業高校3年、原裕生さんと鈴木淳也さんが来ていた。同校は原発事故以降立ち入りが制限されている地区にある。
「絵画は、現状をそのまま見ているようで怖いと感じました。仮設校舎でも学校生活は楽しいですが、外に出ると除染で出た廃棄物などを見ます」(原さん)

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