「地学のススメ」世界有数の自然災害国日本にとって、地学は必須の教養である!!

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きょうは「地質の日」。
日本初の広域的な地質図が作成されたのにちなむ。
足元の岩石や地層が、地震や土砂崩れなどの災害をもたらすかもしれない。
大地の成り立ちを正しく知ることがあすの防災への一歩となる。

高校生の「地学」離れに歯止めがかからない。
多くの大学で入試科目から外されているためだ。
化学や生物、物理に比べ履修率が圧倒的に低い。
かつての共通一次やそれ以前は文系受験生の人気科目だったのだが。

地質や気象など頻発する災害との関りは深いが、まったく勉強しないで卒業する生徒も多い。
危機感は強いのだろう。
日本学術会議は昨年、地学を引き合いに出し高校生に理科の基礎を満遍なく学んでほしいと提言した。

世界有数の自然災害国で暮らしている限り、地震や台風などから逃れるのは難しい。
だから、日本人にとって地学は必須の教養である・・・。
そう京都大の鎌田浩毅教授は近著「地学のススメ」で警鐘を鳴らす。

日本列島は千年ぶりの「大変動の時代」に入ったとも指摘する。
地震や噴火が収まる気配はなく、いつどこで大災害がおきてもおかしくない。
自然環境を理解しようとする地学の知識は身を守るために役立つはずだと。


おもしろくてためになる「地学のススメ」から

実は、いまの地震と噴火の頻発は、「3・11」によって地盤に加えられた歪みを解消しようとしているのだ。もはや日本列島は千年ぶりの「大地変動の時代」が始まってしまっていて、今後の数十年は地震と噴火は止むことはないだろうというのが、われわれ専門家の見方なのである。
これに加えて、近い将来には、約6千万人を巻き込むと予想される激甚災害が控えている。首都直下地震、南海トラフ巨大地震、富士山をはじめとする活火山の噴火、などの自然災害が、いつ始まっても不思議ではないのだ。こうした大事なことを高校で学ぶ機会が激減してしまったことは、国民的損失と言っても過言ではない。
では、どうするか? 私の回答は「いまからでも決して遅くない」である。145年前の明治初期、福沢諭吉は『学問のすゝめ』を刊行した。すべての日本人が欧米の近代的思想を身につけ自覚ある市民として意識改革することを説いた名著であり、文章は平易にして情熱に満ち、全国民の10人に1人ほどが買ったという。

私の気持ちも、福沢と同じである。このほど上梓した『地学ノススメ』(講談社ブルーバックス)は、地震と噴火が続く日本でわれわれが生き延びるための入門書だ。英国の哲学者フランシス・ベーコンが説いた「知識は力なり」という言葉は、まさに現代日本に当てはまる。20年後に迫った「西日本大震災」から、知識の力で一人でも多くの命を救いたいのである。
もう一つ、本書の意図は、「おもしろくてためになる」ことだ。このフレーズは、戦前に雑誌『キング』『少年?楽部』を出版した講談社の専売特許でもある。私も今回、そのノリで執筆し、文系読者が苦手な数式や化学式は一切使っていない。
10年前に講談社ブルーバックスから出した『富士山噴火』も、数式の代わりにわかりやすい図版と写真をふんだんに載せたのが好評で五刷になった。タメにはなっても面白く読めない理工書が世の中には多い。そもそも学校にユーウツな想い出しかないのは、教科書が確かにタメにはなるかもしれないが全然面白くなかったからとも言えよう。

ここを打破しようと、私は教室で真っ赤な革ジャンを着てマグマを語り、横書きの学術論文から縦書きの「新書」へと発信メディアを変えた。通例、大学の理系科目は数式が並んだ横書きの分厚い教科書を使うが、それでは初学者の興味をつなぐことは難しい。よって私は、あえて「新書」を教科書として選んだのだ。
結果は上々で、閑古鳥が鳴いていた講義は立ち見が出るまでになった。そして自称「科学の伝道師」―京大で教えるようになって今年で20年になるが「ヘンな教授」で押し通してきた、これまでの記録が、先の「情熱大陸」だった。
とはいえ私は何も、使命感に燃えているだけの地学者ではない。そもそも私が地学に惹き込まれたのは、25歳の駆け出し研究者のころ、地球の美しさに心底、感動したからだ。広々とした九州の火山で、風を感じ、土の匂いを嗅ぎ、大地を直接肌で受けとめながら、山をひたすら歩いた。
五感のすべてを使いながら地球の成り立ちに考えをめぐらすことには、何にも代え難い心地よさがあった。地学を一生続けていきたいと思った瞬間だ。今回の本には、そうした地学という学問そのものの魅力が伝わるエピソードも、たくさん盛り込んだ。

この本は、人類が3000年もかけて築き上げてきた、「教養」および「実学」としての地学の世界への招待状である。「大地変動の時代」に突入した日本で、しかしこよなく美しい自然に囲まれた日本で、これからも生きていこうと決心した、そのあなたに向けての。

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