第一回日米経済対話で対立「回避」を、大きい隔たりは通商別枠交渉で

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小柴さんは著書「ニュートリノと私」で学問の米国流儀を褒める。
どんな泰斗でも学生と意見をぶつけ合い、誤りは素直に認める姿だ。
あの大統領がどうだか分からないが、日本は摩擦を恐れてはなるまい。
ましてや忖度(そんたく)などは無用だ。

白紙の答案を喜んだ先生がいる。
15年前にノーベル物理学賞を受けた小柴昌俊さんだ。
大学院生だった若き日、臨時の講師を務めた高校でテストに出す。
<もしこの世に摩擦がなかったらどうなるか>

原始人は火を起こせなかっただろうし、バイオリンの弦も音を生まない。
生徒たちは鉛筆を走らせる。
わざと白紙で出された答案を、小柴先生は正解とした。
摩擦がないと鉛筆の先が滑り、何も書けないからだという。

こちらも白紙に近い状態だろう。
初会合があったばかりの日米経済対話である。
麻生太郎副総理は「あらたな一ページが開けた」と自賛したが、ペンス副大統領との会談で口にした「摩擦は遠い過去」との言葉は上滑りしていないか。

表面しか見ないで軽々しく振る舞うこと・・・と辞書にある。
経済摩擦が持ち上がったのは1960年代。
ピークは過ぎたが、摩擦係数は今もゼロではない。
まだ米国は本音を言っていない。

18日開かれた日米経済対話の初会合は、米国が求めていた2国間の貿易交渉や個別分野の協議に踏み込まなかった。だが、米側は日本との自由貿易協定(FTA)締結に意欲を見せており、日米の隔たりは大きい。今後、対日貿易赤字の削減に向け、自動車や農産物分野などの不均衡是正に圧力を強める恐れもある。

◆対日赤字10%未満

「摩擦という言葉が象徴してきた日米経済関係は、遠い過去になりつつあり、今は協力という時代だ」

初会合で麻生太郎副総理はこう強調した。かつての日米通商協議は貿易摩擦を背景に米側が要求することが多かった。今回は日本が創設を呼び掛け、貿易問題に議論が偏らない形での対話を志向している。

当初、米国側は事前調整で2国間貿易交渉を取り上げるよう主張。米通商代表部(USTR)は、日本の対米輸出の約4割を占める自動車貿易や農産物市場の閉鎖性を問題視し、対話を通じて貿易障壁の撤廃を求める構えを見せていた。

ただ、「2国間交渉は解決できない課題ばかりで、経済対話と一緒にするとまとまらない」(通商筋)。そこで、日本側は世耕弘成経済産業相とロス米商務長官による通商担当相会談を別枠で設定し、争点化を避けた。

日本は米国車に関税をかけておらず、農産物でも環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)の合意内容を超える譲歩は国内生産者の理解を得られない。そもそも1980年代と違い、米国の貿易赤字は対中国が半分近くを占めており、対日本は10%に満たない。

だが、ペンス副大統領は会合後の記者会見で「経済対話で学んだことから(日米)自由貿易協定(FTA)の交渉になるかもしれない」と述べ、日本側との思惑の違いを鮮明にした。

◆安保とディールか

支持率が低下する中、トランプ大統領が具体的成果をアピールするため、貿易赤字の削減に力を入れる可能性が高く、事実、足元でドル高を牽制(けんせい)する発言を繰り返している。18日には米国食肉輸出連合会が日米FTA交渉の加速を求めるなど、国内の圧力も高まる。

トランプ氏が自国の利益を優先するために貿易問題と安全保障などを「ディール(取引)」する恐れもある。北朝鮮情勢の緊迫化など安全保障環境が激変し“米国頼み”が強まる中、FTA交渉やドル高是正を求める米国の圧力を回避できるか、日本政府は難しいかじ取りを迫られている。

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